保育士 求人に乗り出す

91年には、N生命による生命保険現法がいわゆるSカンパニーの買収を通じてニューヨークに設立されたが、将来的には現地の一般保険市場の開拓をもにらんだ動きと思われる。 さらに、97年には、N生命がフィリピンの銀行など2社と合弁で生命保険会社を設立し、アジアでの保険営業の拠点を築いている(中国に現地事務所を設置した会社もある)。

生保に比しインターナショナルな業務である損害保険業界では従来から海外展開に積極的であったが、最近は東京海上を中心に、日系企業への対応から、現地の非日系企業をもターゲットに据えるアジア戦略を展開している。 もっとも、海外での現地市場を直接対象とする業務展開には、現地の社会保障制度の理解や、現地職員の登用など、人事制度から企業文化を含めた戦略が必要になる。
国内市場が成熟化している生命保険業界にとっても今後の大きな戦略課題の一つであろう。 生命保険会社の販売チャネルは、金融・保険制度改革でわが国に先行する欧米においても、顧客との対面販売を行うエージェントが主流である。
わが国の21世紀初めを展望しても、生命保険会社がこれまで築きあげた顧客ネットワークの維持・発展に、営業職員チャネルが中心的役割を担うことは間違いないであろう。 各種の生命保険の顧客満足度調査を見ても、会社や商品よりも営業職員に対する信頼性のファクターが大きいことが示されている。
とはいえ、これまで述べてきた生命保険業を取り巻く外部環境の変化や生命保険業に内在する経営課題は、この営業職員制度を変貌させる可能性を持っている。 営業職員制度は、どのような背景の下に今後どのように変わっていくかあるいは変わらなければならないのか。
営業職員制度に変貌を迫る要因としては、保険・金融業の規制緩和、人口の高齢化、情報通信システムの革新があげられる。 先ず、規制緩和によって、従来は外資系や一部の生命保険会社の商品のみを扱うにすぎなかった損保のプロ代理店が、損保の生命保険子会社の生命保険をも扱うようになった。
生損保の販売風土には、需要喚起型対需要顕在型、顧客との接触頻度の多寡などの違いはあるものの、その影響は小さくない。 新たに認められた保険仲立人(ブローカー)は数も少なく、当面は損保の企業物件が中心とみられることから直接的な影響は小さいと思われる。
ただ、既存の銀行系代理店の一部や総合商社などが生損保商品を扱う本格的なブローカー業務を展開する可能性もあり、楽観視することはできないであろう。 今回の生損保相互参入の際も議論されたいわゆる法人募集代理屈規制(構成員契約規制)については、親会社グループの役職員という特定市場の固い込みになるため、一定の取引分野における競争の実質的制限を禁止する(公正な競争の確保という)独禁法上の問題がクリアされない限り、近い将来全面的に解除されるとは考えにくいが、眼の離せない問題であり、営業職員制度に極めて大きな影響を及ぼす問題である。
さらに、生命保険業界は組織防衛の上からも絶対反対の態度を打ち出しているが、生命保険の窓口販売を要望している銀行との関係もある。 信用金庫の上部機構である全信連は自ら生命保険会社を設立して、販売は各地の信金が行うという構想を持っている。
わが国と同様に銀行の力が強いカナダでも銀行による保険販売(ネットワーキング)が禁止されていることからすれば、銀行の保険窓販が直ちに利用者利便(利益)につながるかどうかは疑問もあり、簡単に認められるとは思われない(97年6月の金融制度調査会と保険審議会の報告書も、住宅ローン関連の信用生命保険と長期火災保険に限定して、しかも解禁の時期も明確には定めていない)。 ただ、EUではパンカシュランスやアルフィナンツとして、すでに銀行と保険の相互参入や提携販売が一般化しており、アメリカでもその方向に向かっていると考えられる。

ビッグパン構想が、わが国の金融・保険制度を一気にグローバル・スタンダードに近づける狙いを持っていることからすれば、いずれは、わが国の金融制度との全体的な整合性ならびに利用者利便の観点に立って、弊害防止措置や既存の営業職員制度に与える混乱をできるかぎり回避する方策を含めて、より広範囲の銀行による保険の窓販を検討することが求められることとなろう。 営業職員制度に変革を迫る第2の要因は、高齢社会の到来である。
生命保険の普及率はすでに95%にもなっており、急速な高齢化の進展によって、従来の死亡保障(家族保障)はさらに成熟化し、代わって年金、疾病、傷害、介護リスクに対する需要(いわば、自分のための保険ニーズ)が増加する。 このことは、利益率が高く営業職員にとっては手数料の大きな商品から相対的に利益率が低く手数料の小さな商品に移ることを意味する。
生命保険業界にとっても営業職員制度を支えてきた数量販売路線の維持が難しくなってくる。 さらに、どちらかといえば社会保障との関係を無視して販売することが可能であった死亡保障商品とは異なり、年金、疾病、介護保障は、ベースとなる社会保険の補完としての性格が正面にでてくる商品である。
生活保障のアドバイスを行う営業職員は、単に生命保険商品に関する知識のみならず、社会保障制度や社会保険に関する知識も要求される。 構造改革の一環として社会保障制度改革が進められるなかで、その動きをフォローし、かつ規制緩和(自由化)に伴う他社の生命保険商品のみならず、損害保険商品、銀行など他金融機関の商品も理解しなければならない。
これからの生命保険の営業職員は、損害保険商品を扱うか否かにかかわらず、今まで以上に極めて幅広い金融、保険、社会保障の専門的知識を身につけなければならないことになる。 最後に、通信技術革新が営業職員チャネルに与える影響もある。
ネットワーク社会では、保険の販売方法も後述のように相当の変貌を遂げると思われるが、営業職員サイドでも携帯端末などの情報機器を活用した高度なコンサルティング能力が求められる。 コンピュータやネットワークに関する感性やコンピュータによるプレゼンテーション能力が強く求められる。

以上のような環境下で、生命保険業界としては、営業職員チャネルを今後どのように維持、発展させていくべきなのであろうか。 はっきりしていることは、前章で述べたとおり、営業職員チャネルは死亡保障市場が成熟化し、年金、疾病、傷害、介護という付加保険料の相対的に少ない商品に傾斜せざるをえない一方で、教育、情報機器整備の必要性などから、ますます高コストチャネルとなり、生産性を向上させなければ到底維持できない組織になるということである。
さらに、ダイレクト(ネットワーク)・マーケティグや銀行窓販などチャネルの多様化がすすめば、営業職員チャネルの高コスト性は一層深刻化しよう。 また、ネットワーク社会の進展により顧客サイドでも主体的にチャネルを選択する動きが生じ、高度な生活保障のアドバイスよりも手軽で安価な保障を求める顧客層にはそれにふさわしい商品とチャネルを用意することが求められることも前述のとおりである。

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